コミュニケーションスキル at 高校
高校生活は楽しいことばかりではありません。13年間教員をしてきた私の経験から、生徒たちの悩みの多くは人間関係に関するものでした。「人を動かす」という本をご存知ですか?この本には、コミュニケーションを上手にするための多くのコツが書かれています。今回は、それを高校生向けにアレンジし、コミュニケーションが苦手な人でも「やってみよう!」と思えるように紹介します。
非難をしないコミュニケーション
概要
誰でも批判されたり非難されたりするとムカッとしますよね?それが原因で友達とケンカしてしまうこともあります。まずは、批判や非難をやめてみましょう。逆にムカッとすることを言われても、そのまま反応するのではなく、何がそうさせたのか原因を探ることが大切です。
具体例
友達が突然ムカッとすることを言ってきたとき、売られたけんかを買うのではなく、なぜそういうことを言うに至ったかを一緒に考える。
- 例:
- 友達:「××××××××××××!!!!(←ムカッとすること)」
- あなた:「どうした?なんかあったか?」
- 友達:「どうもこうもないよ!」
- あなた:「俺が知っているお前はそういうことは言わない(ここはカッコよく言う)」
- 友達:「・・・実は・・・・・・(カッコよさに絆されて白状してしまう)」
部活で友達がミスしたとき、「なんでミスしたの?」ではなく、「次はどうすればうまくいくかな?」と一緒に考える。
- 例:
- あなた:「次はどうすればうまくいくかな?」
- 友達:「もう少し〇〇の練習に時間をかけたほうがいいかも。」
- あなた:「うん、じゃあ〇〇の練習を一緒にしよう!」
心理ポイント
ネガティブな言葉は相手の防衛本能を刺激します。ポジティブな言葉を使うことで、相手もリラックスしやすくなります。ポジティブな言葉は相手もホッとするし、同じ高校生なのに大人だなと思ってくれるかもしれません。
誠実な関心を寄せる
概要
人は自分に関心を持ってくれる人を好きになります。だから、友達やクラスメイトに誠実な関心を持つことが大切です。ただし、嘘はいけません。感嘆は真実、お世辞は嘘です。
具体例
友達が好きなアニメについて話すとき、「へぇ~」だけではなく、「最近見たアニメでおすすめは?」と聞いてみる。
- 例:
- あなた:「最近見たアニメでおすすめは?」
- 友達:「『疑似ハーレム』かな、すごく面白いよ!」
- あなた:「そうなんだ!どんなお話なの?」
友達や仲良くなりたい人の誕生日には、「お誕生日おめでとう!これ、あなたが好きだって言ってたお菓子だよ。」と小さなプレゼントを渡す。
- 例:
- あなた:「お誕生日おめでとう!これ、あなたが好きだって言ってたお菓子だよ」
- クラスメート:「ありがとう!でもなんで私の誕生日知ってるの?」
- あなた:「たまたま〇〇(共通の友達)に聞いたんだ」
- クラスメート:「でもその時1回聞いただけで覚えてるってすごいね」
- あなた:「たまたま思い出したんだ(本当はがっつりメモってる)」
心理ポイント
「返報性の原理」と言って、関心を示すと相手も自分に関心を持ちやすくなります。
名前を覚え、名前を呼んで話すコミュニケーション
概要
自分の名前を覚えてくれていると、それだけで嬉しくなりますよね?名前を呼ぶことで、相手との距離がグッと縮まります。
具体例
クラス全員の名前を覚えて、話しかける機会があれば必ず名前を呼ぶようにする。
- 例:
- あなた:「おはよう、田中さん」
- 田中さん:「おはよう、私の名前覚えてくれてるんだ」
- あなた:「同じクラスだからね」
先生や先輩にも名前で呼びかけ、距離を縮める。
- 例:
- あなた:「山田先生、おはようございます!今日の授業も楽しみにしています」
- 山田先生:「お前いつも寝てるじゃん(呆れているようで実際は良い生徒だと誤認する)」
心理ポイント
「ネームコーリング効果」と言って、名前を呼ぶことで相手に特別感を与え、信頼関係を築きやすくなります。
相手の話に耳を傾けるコミュニケーション
概要
コミュニケーションの基本は「聞く」ことです。話すだけではなく、ちゃんと聞くことが大事です。相手の話を最後まで聞くと、相手は「この人は自分をちゃんと理解してくれる」と感じて、もっと話したくなります。
具体例
友達が話をしている時は、スマホを見たりせず、目を見て話を聞く。
- 例:
- 友達:「昨日、〇〇っていう映画見たんだよ」
- あなた:「うんうん、どういう映画だったの?」
クラスでのディスカッションでは、他の人の意見を尊重し、しっかりと聞いてから自分の意見を述べる。
- 例:
- クラスメイト:「私はこう思うんだけど…」
- あなた:「なるほど、その意見も一理あるね。私もこう思うんだ。」
心理のポイント
「傾聴の技法」を使うことで、相手に「この人は自分を理解してくれる」と感じさせることができます。
相手の関心を引く話題を見つけるコミュニケーション
概要
相手が興味を持っている話題を見つけて話すことで、会話が盛り上がります。相手の趣味や好きなことについてリサーチしてみましょう。SNSなどである程度の情報は手に入ります。機会を見つけ、それとなくその話題を振ってみましょう。
具体例
新しく友達になったクラスメイトがスポーツ好きなら、そのスポーツについての話題を振る。
- 例:
- あなた:「サッカー好きなんだって?どのチームが好き?」
- クラスメイト:「バルセロナかな、メッシが好きなんだ。」
- あなた:「そうなんだ!試合とかよく見るの?」
先生が研究しているテーマや好きな科目について質問する。
- 例:
- あなた:「先生の専門って何ですか?その分野に興味があります。」
- 先生:「私は物理学が専門なんだよ。特に量子力学が面白いよ。」
- あなた:「量子力学って難しそうだけど、どんなことが学べるんですか?」
心理ポイント
「興味の共有」によって、共感を生み出し、より深い人間関係を築くことができます。
まとめ
これらの方法を実践することで、高校生活でのコミュニケーションスキルは格段に向上します。時には興味のない話を聞いたり調べたりして意味がないと思うかもしれませんが、知らなかったことを知るということは、自分の人生の幅を広げてくれますし、会話の引き出し数も増え、数多くの話題に対応できるようになります。非難をしないという包容力や忍耐力、相手の名前を覚えるという記憶力も鍛えられます。これらのコミュニケーションスキルは一生涯使え、全ての人に役立つ能力です。
参考文献(色々読みましたがこの本1冊で十分かもしれません)
- デール・カーネギー『人を動かす』(私が万人に勧める唯一の本。全員がこれを実行すれば世界はもっと丸くなる)
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